東京地方裁判所 昭和40年(ワ)10716号 判決
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〔判決理由〕土地賃借人の所有する地上建物に設定された抵当権の実行により、競落人が右建物の所有権を取得した場合は、特段の事情がないかぎり、右建物の敷地の賃借権もまた競落人に移転するものと解されるところ、本件賃貸借契約は、被告と三好との合意によつて解約され、消滅に至つたものではあるが、すでに認定したところによれば、三好は、右合意解的の当時、被告から賃借した本件土地上の、自己所有に係る本件建物について、住宅金融公庫のために抵当権を設定し、その旨の登記手続を了し、しかも被告は、右抵当権の設定を承諾していたというのであるから、かかる場合においては、被告は、右合意解約の効果を原告に対抗しえないのであり、他に、右特段の事情についてはこれを認めるに足りる証拠がないから、原告は、昭和四〇年七月、本件建物を自ら競落したと同時に、本件土地の賃借権を取得したものと認めるのを相当とする。
しかしながら、原告の右賃借権取得は、本件土地所有者である被告の承諾がないかぎり、被告に対抗しうるものではない。前記の「地主承諾書」(甲第四号証)の記載によれば、被告は、三好が、住宅金融公庫のために、本件建物に抵当権を設定することを承諾するというのであり、三好は、被告に対して、右公庫から住宅資金を借入れるについて、本件建物に抵当権を設定するには地主の承諾が必要であるからと述べたにとどまり、被告としても、本件建物は三好がずつと住むものと考えていて、これが競売になるとは予想もせず、本件土地を三好以外の者に貸すつもりがなかつたことが、前記設定事実および証人伊藤房子の証言により認めることができ、しかも、証人佐土伸夫の証言によれば、住宅金融公庫としては、住宅資金の貸付けをする際、敷地が借地である場合は、地主の土地使用承諾書を提出させているが、これは、地主が抵当権設定の事実を知らないとして苦情を持ちこんだり、土地賃借人と地主との合意によつて賃貸借契約を解約し、建物を収去するような事態を防ぐ趣旨であることが認められるから、被告のした承諾は、本件建物競落人である原告が、三好から本件土地賃借権の移転を受けることについてのものではなく、たかだか、三好が本件建物に抵当権を設定することを承諾し、右抵当権が存続する限り、三好との合意によつて、同人との間の本件土地賃貸借契約を解約しない旨の意思を表明したにすぎないものというべきである。(岡成人 白川芳澄 豊田健)